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古本屋女房の本とこどもとしっちゃかめっちゃか


by epsilongstocking

殺しあう夏。

この頃、死体写真とか「グロ注意」とか、
ネットでそういうのばっかり見ている。

夏は手加減がない。
生き物たちの活動も手加減がない。
虫とかカビとか腐臭とかがぜんぶぜんぶ交じり合って、
三つ巴どころの騒ぎではない。

必死で掃除したり片付けたり、
家の中だけは生き物の活動の影響を受けすぎないように
気をつけても、
あっちこっちで荷物の山が雪崩をおこして、
扇風機には埃がこびりついて、
水場にはカビが生えて、
ゴミ置き場は臭くて、
雑草は汚らしく生えて、
蚊はプンプンうるさいし、
エアコンはぼちぼち掃除を頼まないと臭いがやばい。

毎年のことだがそのうちどうでもよくなる。
もういいやばかばかしい、
なるようになれこんちくそー。
7月後半のことであるのである。

思えば雑誌などで紹介されるような
あの心地よさそうな空間、
あれを維持するのに私はどれだけ汗をかかねばならんのだろう。
それでせっかくきれいにした部屋を
家族が一瞬でぐちゃぐちゃにしていくのだ。
シジフォスの神話かよ。

なんてえことを考えていて、
夏ってみんな獰猛になるのね、
みんながみんな生き残ろうと食ったり食われたり、
冬の眠りから覚めて春を過ごして、
そして夏に殺しあうのね。
と思いながら、
夏だし2ちゃんオカ版まとめなんかを読み漁って、
それで冒頭のような事態に至ったのだった。

いろいろ見ていて、あるとき
「熊に襲われた男性の死体」
というのに行き当たった。
ほんとにそうなのか、いまいちわからないけど、
山の草地にズボンが脱がされて片足が骨だけになっちゃって
ヘタッとしたヘノコが××××
というもの。
お腹はどうともなってなかった。
あれー?内臓って栄養なんじゃないの、
サバンナサバイバルみたいなやつだと、
動物たちの狩りのときにお腹は奪い合いだったはず。
熊は人間の肉とかあんまり好きじゃないのか?
人間の肉ってやっぱ臭いのかなあ。
毒素がいっぱいとかなのかなあ。
と、ちょっとシュンとなった。

いやでもでも、
この間は道路っ端で死んでた大きな猪の写真も、
食われた痕跡なかったわ。

例えば生餌しか食べない生き物が狩りをして動物をまず食べて、
その残りを屍肉しか食べないハイエナ(日本にはいないけど)とかが来て食べて、
またそのおこぼれを小さな動物たちが取り合って、
肉だ肉だワーイヤッター、
てのが食物連鎖なんじゃないのか??
鳩だって猿だって鼠だって烏だって
雑食なんだから、
人間の肉だって食べるんじゃないの?

そういや野犬とかいないもんね。
野生のニホンオオカミはとっくに絶滅してるし。
熊だって人間に遭えば襲うけど、
基本的には魚食とか、木の実とかよね??
猪も畑荒らしたりするのよね?
じゃあ肉だ肉だワーイってなる生き物がいないってことか?

それまで私は、世間で言われているような
「人間だけが食物連鎖から外れてしまった・・・」
というハナシを鵜呑みにしてそこで思考停止していたけど、
日本では食物連鎖なんて
とっくに崩壊してるってことなのか。

日本では屍体を見ない。
猫の屍ですら珍しい。
タイとか南米では屍体写真が容易に撮れる、
と、なにかの本に書いてあった。
動物が屠畜されるときの断末魔を、
私たちは聞かない。
スーパーでパッキングされて並べられた肉たちにも、
最期の悲鳴の記憶が残っているかもしれないのに、
私たちは耳を傾けない。

そんなことをずっと考えていたら、
昨日お店にミルンさんがお友達を連れていらしてくれて、
話の流れでその人に
「チェチェン 首切り、で検索してみてください!」
と教わり、その通りにしてみた。
ロシア兵がゲリラ兵に生きたまま首を切られる動画デシタ。
まあ閲覧注意やね。

文章では拷問とか処刑とかの話を本で読んだりしていたので、
それを見ながら、
ああ早く死にたいだろうな、
と私は思った。
私だったらさっさと死にたい。
生きたまま首は切られていたけど、
手際がじつに早くて、
一気にナイフで切っていたのが、
まだ救いだった。
拷問動画とかは見れないなと思う。

私には家族がいて、
ちいさな子どもがいるのです。

命は温かくやわらかくて、
そしてかんたんにひしゃげて潰れてしまう。

子どもと生きていて、その事を毎日毎秒突きつけられている。
動画を見ながら、
ああいやだな、
なんで私は子どもを産み出してしまったんだろう、
私の子どもがこんな恐怖を味わったら嫌だ、
絶対に嫌だ、
と思った。

日本は本当に治安がよいと思う。

誘拐もほとんどない。
殺人も、殆どがある程度の密度のある人間関係の中で起こり、
無関係な赤の他人が連続殺人をしたり、
ましてや紛争やテロや政府による逮捕監禁拷問死も
ほんとにほんとに少ない。

お金がないとか、
食べるものがないとか、
言っても、ゴミを漁れば食べるものにありつける。
ほんとうにほんとうに、
食べられる木の根1本見つからないなんてことはない。

そういう中で、わたしたちは、
いろんな問題を問題と思って抱えているのだな。

山に行ってみたいし飲み会に行きたいし映画もみたいけど、
ほんとにほんとにお金がないなあ、
なんて思っていたけど、
今日まで強盗にも遭わず、親族も殺されず、
子どもはまあ元気にして、
外食なんて出来るほど余裕ないけど
自炊で食べるくらいのお金は持っていて、
家もあって、
布団で寝られて、
レイプされたこともなく、
犯罪に巻き込まれたこともなく、
これは、奇跡なのかもしれない。

だけど、
紛争真っただなかの地域でも、
もしかしたら、
これは奇跡かもしれないなんて思いながら
生きている人がいるかもしれない。

それに、
どっかの大きな会社のCEOだかで、
大株主で、大地主で、
なんて人がもしかしたら、
まだまだだ、まだ足りない、
あいつと比べて自分はなんてアンラッキーだ、
とか思っている人もいるかもしれない。

とにかく、
いのちはあたたかく、
やわらかく、
そして一瞬でぺちゃんこにつぶれるのだ。

ということを、
わたしはずっとずっと思っている。
そして祈っている。
どうか、どうか・・・

その先は、よくわからない。
by epsilongstocking | 2012-07-28 16:52