日暮里でぷっつん。

きのう、日暮里へ行きました。
雨の日で土曜日で夫在宅で、
子どもたちとDVD三昧するというし、
じゃあわたし、子どもたちの入園入学グッズ制作の材料、
買ってきてもいい?
みんなお留守番よろしくね、
すてきなの見つけてくるからね、
あんたは何色がいいの?みずいろ!
はいはいはい、ピンクねピンク、あんたはピンク、
わかったわかった、
じゃあね。
ママ、はやくかえってくる?
うーんどうだろ(話題をそらさねば)、とにかくあんたはピンクなのね?
ピンクとオレンジときいろとねー、
あー、はいはいはい。そんなかんじね。
じゃあ行ってきますね。
いってらっしゃーい、ママ、気をつけてねー。

てなやりとりのあとで、
一番大きな旅行バッグを肩からさげて、
出かけてきたよ、日暮里へ。
繊維問屋へ。
日本のおへそへ。

山手線に乗り換えて、
人から借りた伊藤比呂美の「とげぬき新巣鴨地蔵縁起」をいそいそ取り出して、
読もうと思ったら、
前に座っている若いオノコふたりがひどい会話をしていることに気がついた。
なにが面白いのかわからない。
ほんとうに、わからない。
ここにも書けない。忘れてしまったから。
とてつもなくつまらない。
なのに、いちいちけけけ、とか、ひゃひゃひゃ、とか、
妖怪じみたような乾いた笑いをつけるのだ、延々。
薄らわらいを浮かべながら、
なにがそんなにおもしろいのかオノコどもよ。
伊藤比呂美にすっかりどっぷりの私は
そんな調子で悩ましく、心の中で毒づいた。
こういう事が、出かけるとよくある。
詰まらん会話を延々つづける若い人々。
私は年をとったのだな。
と、思いながらも、年とってよかった、
あんなつまらない会話しかできない若さなんか欲しくない。
と負け惜しみとしか言われないような毒を吐いた。心の中で。

で、日暮里に降り立って、
理性が崩壊し、なんやかんやでトマトへ参詣し、
下から上、上から下、隣へ行って、
さっさと道を渡って(横断歩道?信号?なんですかそれは。)、
また戻って下から上、上から下へ買い物しながら降りてきて、
何度も何度も並んで布を切ってもらい、
また並んで会計し、
隣に飛んでいってまた布を切ってもらい、
会計し、
さらに隣へ飛び込んで紐やらなにやらを切ってもらい、
会計し、
レジ袋をばさばさいわせながら、
やばいこんな時間だ遅刻だ遅刻だ、
と店をおん出て
来るときに最後に寄ると決めていた、
パキスタンの刺繍テープ(というのだろうか)のお店で
最後の理性が崩壊し、
いろんな計算でぱんぱんになって震えが手にきて、
震える手であれを5m、これとこれを3mずつ、ああこれ、これもなあ、
どうしようどうしよう、あたまおかしくなるー、
といいながら店の女の子にニコニコされながら狭い店内を
ぐるぐるしていたら、
入ってきたのだ、若いオノコたちが。
こんどは3人も。
狭い店内に。

オノコどもは関西弁だった。
どうする?お、こんなん。
なんていいながら。
おしゃれですてきなオノコたち。
気がきかないんだよなー。
どかないんだよなー。
どかずに延々しゃべるんだよなー。
と、毎度毎度の展開を予想してげんなりしていたら、
なんというか、まずすばしっこい。
どかないということはない。
気配を察してどくのです。
こんなんで、たらーっとさせてこう、きらきらしてて、
これくらいのがびらーっと。
擬態語ばっかりやん。
そのやりとりにブッと噴出しそうになるのをぐっとこらえ。
迅速に、率直に、店員さんと相談してさっさと決めて、
さっさと買って出て行った。
むしろどかずに邪魔だったのは私だ。
世の中にはすてきなオノコがまだまだおる。
日暮里すてき旅。

すてきといえば、
日暮里の皮専門店の一つに、間口のせまい、
やっているのかいないのか、
わからないようなボロい店が大通りに面してある。
はじめてそこで買い物した。
そこのおばちゃんに、
こういう皮紐って切れやすい?
うーん、そうだねぇ、なんに使うの?
これこれこれで、店で。
そうだねぇ、それだとやっぱりこれ、バックスキンだからねぇ。
こっちならいいんじゃないかね、
あとはおもてにあるのか、
どう?これはね、300円、
おもての?そうだねぇ、あなたが言ってるのだと、
これだとちょっとね、細いからね、まあ何とかなるかもしれないけど、
こっちのが。そう、無難だね。
じゃあ、さっきのあれ、10本ください。
はい、ありがとうございます。
なに、何屋さんなの?
へー、古本屋。古本屋って儲かるんでしょ。
いやー、カツカツですよお。
そうなの?エライわねぇ。え、こども旦那さんにみてもらって?
そーおなの、えーらいわねぇ。
はい、これね。
あ、ちょっとまって、いいものあげるわよ、
コーヒー大丈夫?そう?これね、フランスの飴。
これね、舐めてると、周りの人がいーい匂いなのよー。
はいこれね、はい、お子さんにもね、あげてね、
はい、どーおも、ありがとうございましたー。
てなお店のおばさんに出会って、
それでまたウキウキだった。
来てくれたお客さんを粗末にしないこと、
精一杯もてなすこと、
店は傾きそうにしっちゃかめっちゃかだったけど、
おばさんの一生懸命な心遣いは、とってもいかしていた。

そうして日暮里で意識をうしなって、
気がついたら約束の時間にとうてい間に合わなくなっていて、
あわてて電話して遅刻を伝言してもらい、
旅行かばんにパンパンに詰め込んだ布やらリボンやらに
あっちに振られこっちに振られしながら
卒園児の母親だけの無礼講飲みにそのまま出かけた
春の、宵でありました。
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by epsilongstocking | 2012-03-25 19:38