古本屋女房の本とこどもとしっちゃかめっちゃか


by epsilongstocking

ロージナ茶房の懐。

以前に「イメージとマテリアル」という話を書いたら、
ミクシーで読んでいた方から
長文のメッセージをいただいて、
それはとても共感できるものではあったけど、
ちょっとやっぱり、そのときにはピンと来なかった事も書いてあった。
それでずっとそのことが気にかかっていたのだけど、
昨日、国立に行って、
その答えが悔しいことに夫からもたらされた。

いただいたメッセージは、
私がマテリアルを無視した街づくりが我慢ならんというのに対し、
自分はそういう東京が好きですよ、
と書いてくださっていた。

そのときは、うーん、でもなぁ。
と、思った。

確かにみんながこんなにも好き勝手に自己主張できる街も
少なかろう。
いろんな人がいろんな主張をして、
それを街がまるごと抱え込んでいるのだ。

私はそのときの記事では、
どっちかというと仮想現実世界と実世界とがつながっている、
その感覚について言葉にしたかったので、
好き勝手なイメージでごちゃ混ぜの街について、
そこまで追求して考えなかった。
うーん、うーん、と思ったまんま、
ずっと返信できなかった。
考えがまとまらなくて。

で、昨日、国立に行って、
私たち一家は駅前の老舗洋食堂「ロージナ茶房」に入ったのだ。
そのすてきな空間については、
ぜひ足を運んで、実際に体験していただきたいです。
そこで私たちは、
とにかく落ち着けるこの場所が、
なぜこんなにも心が落ち着き、かつ楽しくなるのかについて、
話し合ったのでした。
ひまだねー。

大きな窓が一列に並んだ窓辺の
古びたソファと鉄の椅子に沈みこんで、
店内に揺ぎなくただよいつづける安らかな空気に
心地よく身をあずけながら見回すと、
む、あれ、あそこ、
蛍光灯じゃん。
なんかまぶしいと思った。
て、あれ、ここにも蛍光灯だ。
なんだかもったいないなあ。
これが白熱灯だったら、ほんとに完璧なのに。
ひろいフロア、高い天井、木の床、大きな窓。
なんで蛍光灯なんだよー。

と、言ったら、夫が
ばかもの、蛍光灯だからいいんじゃないか、
とのたまうのだ。

ええー。

きみね、これがね、白熱灯とかスポットとかだったりしてね、
完璧な照明だったら、
こんなに落ち着かないよ。
たしか荒木(経惟)だったと思うけど、
夫婦で散歩しているときに見かけた木造の建物に、
ヨーコが「なんでアルミサッシなの?(木だったらもっとすてきなのに)」って言ったんだって。
そしたら荒木が「アルミだからいいんじゃないか!」って言うんだって。
つまりそれは生活感だよ。
ここに蛍光灯があって、
それは経営者の無意識が見えることで、
そこにデザインという意識がないからこそ、
ワレワレは安心できるんだよ。

おー。
なっとく。

たしかに、
すっごいステキなお宅に遊びに行って、
ホコリ被った本棚とか見ると、ちょっと安心するもんね。
そこに人が無意識でいるということの顕れ。
その無意識の場所を介して、
私たちは無言の会話をするのかもしれない。

それにしても、
アルミだからいいんじゃないか!
ていう荒木はやっぱり面白いなぁ。
彼の写真は一貫している。
ところで、女が股を開いてこっちを見ている写真を必ず撮るけど、
あれ、なんなんだろ、ってずっと思っていた。
それもそのはず、
写真は陰毛の中心にパックリ見えているはずの性器を
修正して、黒く塗りつぶしていたんだ。
最近ようやっとそれに気がついた。
女の顔と女のマンコを対応させて撮っていたのだ。
なぁーんだ。

話がそれちゃった。

というわけで、
長文のメッセージをくださった方、と、夫のおかげで、
私の世界はすこし、
やわらかくなった。
自力でないのが悔しいけど、
他力でそうなったということがまた、
やわらかさの証明なのかもしれない。
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by epsilongstocking | 2012-02-12 21:49