古本屋女房の本とこどもとしっちゃかめっちゃか


by epsilongstocking

石巻にいってきた。

前に書いた、石巻百景の日下夫妻に会いに、
仙台に帰省した折、父の運転で
石巻にいってきた。

くわしくは石巻百景を。
なんとご夫妻と私ら親子で行った、
石巻の名所、日和山公園までのお散歩を記事にしていただいている。
写真の座敷女みたいなモサイ女が私です。
ちょっと反省して、いまはもうすこしマシにしてます。

津波にさらわれた石巻に足を運んだことについて、
書こう書こうと思いつつ、
思いが亡羊としてまとまらない。
いまもまとまっていない。
時間がなかったこともある。
お会いしてお話して、2時間か3時間くらい。
そのまま帰ってきた。

車の中から見た町は、
確かに津波の爪あとがくっきりと残っていた。
でも。
それ以上に、記憶の中の風景が、
やっぱりちゃんとそこにあったのだった。
その事に感動してしまった。
河の近くには昭和初期かそれ以前か、といった古い立派な建物が、
ダメージを受けながらも残っていた。
古くから栄えていた町なんだな、
と改めて感じた。
それは被災した町について思うことではなかった。

日和山からの展望で、
津波にすっかりさらわれてしまった町を見た。
そこに何があったのか、私は覚えていなかった。
でも建物の土台や、道をわずかに遺して、
遠くまでむき出しの地面がつづいていた。
沢山の人が亡くなったんだな。
可哀想なんて思えなかった。
私には2人のチビがいる。
もっと切実に、明日はわが身なのだ。

亡くなった人、愛する存在を亡くした人、
私は正直にいって、どうしても
そういう人たちと自分を切り離して考える事ができない。
日本に限ったことでなく。
それは自分であってもおかしくない。全然おかしくない。
無常なんだから。
と、思ってしまう。

どんなに努力しても、どんなに人に尽くしても、
失うときは失う。
容赦なく奪われる。
何もできずに、とりのこされる。
いつかそんな日がくるんじゃないかと思いながら、
私は祈るように暮らしている。
それは昔から変わらないのだ。

石巻で、よく家族で行った寿司屋がある。
富喜寿司、というお店。石巻の駅のすぐそば。
すごく美味しいのだ。
そのお店は早々と復活していた。
仕出しの為に昼の営業を閉じていたのを、
無理を言って開けてもらい、
20年ぶりにそのお寿司を食べたら、
うますぎてクラッっとした。

そのご亭主はもともと、余計な事を言わない、
という感じの、寡黙な人で、
地震と津波の話を聞いても、淡々と、
ポツポツと、何でもないことのように
いつもの調子で話してくれた。
奥さんもご健在で、相変わらず声の大きい人だったけど、
やはり淡々としていた。

お会いした日下羊一さんとは同い年だった。
小学校は違うけど。
奥さんの真理さんも、小柄でかわいい人だ。
かわいくて思わずヨシヨシしたい衝動に駆られたけど、
理性でこらえる。
初対面であまりにも失礼です。はい。すみません。
お宅は窓辺に桜の枝が伸びていて、すごく居心地がよかった。
話していてすごくリラックスしてきて、
もっともっとここに居たいよ~!!
と思った。

石巻は、淡々と、日々を送っていた。
そうしないと悲しくて不安で潰れそうになるからかもしれない。
端からみれば表面上は平気そうに見えるものだ。
相手の内側の苦しみを見ようとしないからかもしれない。
でも、結局、多くの人は、淡々と暮らす以外に道はないのかもしれない。
それは東京にいる私たちも変わらない。
東京だって、実はすごい放射能に汚染されているんだ。
私の子供も、おそらくは被爆して、その遺伝子は傷ついている。
その事を考えると、気が狂いそうになるけど、
そういいつつこうやって、日々を淡々と過ごしている。
悲惨な状況は地続きで、
私たちはいつの間にか、外から見れば
恐ろしいばかりの場所に立っている。
頭では分っているのだけど、
恐ろしくて実感できない。
逃げ出す術がわからない。

なんて非力なんだろう。
蟻のような存在だ。
子供に踏み潰され、
つまみあげられて首チョンパされながら、
淡々と糧を運ぶ蟻の行列みたいだ。
それはでも、それでいいんじゃないかとも思う。
面倒くさがっているのかもしれないけど。
面倒と思う事も含めて、その愚かさが
蟻のようで、それはこの世の生き物のあり方そのものなんじゃないか、
と思う。

足掻かなくちゃいけないのかもしれない。
でも、いま、
無常。
を感じずにはいられない。

だからって何もしないというわけではないんだけど。
やっぱり一方で、
足掻き続ける事は生きている者の特権みたいな気もするし、
せっかく生きているんだから、
なんでも試せるだけ試してみたい。

なんてことをとりとめもなく思う日々だけど、
ふんばろう東日本プロジェクト
なんてサイトを見ていると、
やっぱなんか動かなきゃ、って気持ちが湧いてくる。


石巻に行って、
私は大好きな町に出会ったと思っている。
小学生のころ、そんなふうに思った事はなかったけど。
今、そこには大好きな人が住んでいるし、
すてきな場所が沢山ある。
商店もまだ閉じているところも、やめてしまった店もあるし、
不便になってしまった事も多く、
そういうさまざまなストレスが、結構深刻に心や体に響いてくる事もあると思う。
でも、あえて前向きに、淡々と生きようとする町の人々に、
私は会いました。
また、会いにいきます。
そんで、いつかは帰りたいな。
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by epsilongstocking | 2011-08-31 19:45